夏なんだな
暁の寺院か何かやったかな?
今回はタイに行ったお話。海外に行ったことがある人は感じることやと思いますが、日本を出たら途端に私は外国人。日常のアレコレを気にする必要はないし、気にされることも何もない。ただの一人の日本人になりますね。脱出したような放出されたような自由と不自由を同時に手に入れちゃうような感じかなぁと思います。
だからこそ見えるものや感じるものがあるのかなと思いますけどね。
知らない土地、知らない言葉、知らない匂い、知らないものばかりだから、やっぱり自分ってものが浮き彫りになる。
そんな時間。
【目次】
熱帯夜をくぐり抜けて
季節は12月です。住んでいた神戸ではルミナリエが始まっていた頃ですね。
仲のいい友人がキューバのチェ・ゲバラ氏の映画『モーターサイクルダイアリーズ』を貸してくれたんですね(→気になる方は見て下さい)。
内容は、ざっくり言うと医者を目指す少年?青年?が友人と金も泊まるあてもなくバイクで南米大陸縦断の旅に出る話。その中での出会いや別れ、そして初めて目にする過酷な現実。やがて革命家へと運命を変えていくわけですが、そんな旅の記録です。若者ならではのイデオロギーの話ですね。
本も読みました
それをきっかけに友人が「世界を見たい」「世界を回る」という壮大なスケールの目標を掲げ、その一歩として一緒にアジアに行こうという話になるわけです。
個人的にはその頃、しつこいですが、職場がゴチャゴチャだったりもして自分自身の価値観の転換期だったのか、新しい刺激?が欲しかったのもあり、「よし、行こう!」みたいな軽いノリで行くことに(笑)
ちなみにそれをきっかけに、その友人は数年間、世界のあちこちを旅してました。
専門学校時代に行ったヨーロッパと違って、東南アジアはなんとゆーか、なんとなく「甘く危険な香り」みたいなイメージやったんです。
特にタイとかベトナムは、いい意味で泥くさい感じに思ってました。
夜勤明けでたいした装備もせずに、いざタイへ‼️
飛行機で4〜5時間くらいかな?さすがに寝てましたが、熱気で目が覚め南国に着いたのだと分かりました。時間的には23時過ぎ。
日本の梅雨明けの蒸し暑さと、初めて嗅ぐような匂いが迎えてくれました。
私達が申し込んだのが、ツアーでしたので、てっきり現地に着くとツアー客がドヤドヤいるもんだと思ってましたが、どう見ても同じツアーであろう団体様はいなくて、自分ら2人やぞと。
当たり前ですが、タイ語と英語で書かれた案内版しかなく、耳に入る言葉も何かの呪文みたいな…。否が応でも自分達が"ヨソモノ"であることを認識しました。現地のガイドがいるはずなのでキョロキョロ探します。
入国ゲートを通過し、空港のターミナルの手前では、たくさんの現地ガイドがいろんな言語のプラカードを持って立ってました。
よく、スポーツ選手が帰国した時に待ち構えてるファンやマスコミみたいな感じで。
とりあえず最後に残ってたガタイのいい丸坊主とゆーか角刈みたいなお兄さんが私達にアツイ視線を送っています。
間違いなくこの人でした💦
かたことな日本語で、それでも満面の笑みで挨拶してくれました。
彼の名は"ロウロウ"と言い、タイ語で「ハンサム」という意味だとか。
ちなみに、タイ人の気質は「楽観的」「アバウト」「前向き」「白黒ハッキリさせない」らしく何事も楽しんでいればOKなんですって。対立や争いを非常に嫌い、人間関係を大切にするらしい。さすが、"微笑みの国"です。
しかし、彼の話ではタイ人の笑顔は必ずしもいい時だけではなく、困惑や不安のサインの場合もあると聞きました。
とりあえず空港から50分タクシーに乗りバンコク市内のホテルへ。ホテル前の路地のあちこちでたくさんの人が一杯やってました。夏の花火大会を見に集まる近所の人達みたいな、街中が毎晩お祭りのような雰囲気。
熱帯夜をくぐり抜けながら目に入ってくる全ての景色にワクワクしないはずがありませんでした。
当時のパスポートの写真、ふてぶてしさ‼️
日常=非日常
翌日は朝からガイドのロウロウと3人で市内を回るんですが、まさしくカルチャーショックだらけ。とりあえず朝からビール飲みながらワイワイやってる人多いなぁと。
バンコクの中心地の朝は交通が激しいのです。歩行者の信号もあるにはあるけど、真面目に待っててもなかなか変わらないそうで、歩行者はみんなタイミングを見計らって、車やバイクやトゥクトゥク(タイの3輪バイク)が走ってる車線を横断するという、半ば命がけの横断💦
当然クラクションと排気ガスのオンパレード…。でも、それがこの国の日常。
排気ガスが半端ないです
バンコクの中心を通るラーチャダムリ通りの道端では、アクセサリーや肉や魚を焼いたりパンや中には怪しげな食べ物といった露店が5m毎くらいにありました。
その中にそびえ立つデパートの駐車場。日本みたいにきっちり区画があるわけでもなく、適当に空いてるスペースにねじ込むみたいな。
奥に停めようもんなら出れない。邪魔な場所に停める場合、勝手に動かしていいようにサイドブレーキは基本引かないんですって。
常識、非常識って、所変われば変わるんやなぁということを実感。
仏教の国タイでは、とにかく寺院がたくさんあって、大きくて豪華な建造物は歴代の国王さんのお墓。だいたい、どこも出入り口には銃を持った軍隊の人が立ってました。
それから2日くらいは、寺巡りや水上マーケット、ニューハーフショーなど有名スポットはガイド付きでした。夜はビール三昧(^^)
メインの観光地は、世界中の観光客が溢れてて、賑やかでいいんですが、ヨソモノがその土地の習慣やら文化を良くも悪くも変えてしまう姿を見たような。海外進出した感じのデパートとデパートの間に古びた民家の集落があったりして、表向きの発展の狭間というか。
なんか違和感がありました。
そしてバンコクを流れる、かの有名なチャオプラヤ川は、まさにカフェ・オ・レなみの茶色さでした。
カフェ・オ・レ川ことチャオプラヤ川
3日目、ガイドのロウロウの案内でとあるレストラン?食堂?へ。そこで初めて食べたグリーンカレーは、ココナッツミルクの変な甘さの後に強烈にくるスパイシーな感じ。最初は抵抗ありましたが、2回目以降はクセになるうまさ(^^)私は好きですが、タイ米はちょっと微妙かなぁ💦
色々回ってたら、あっとゆーまに一日が終わる。今夜も街の人達はお祭り騒ぎ。ガイドのロウロウが勤務は19時までだけど、あなた達は好印象だから一緒に飲みに行きませんかと。
一度ホテルへ戻りシャワー浴びて夜の街へ繰り出しました。賑やかさは昼以上でしたが、それ以上に夜は華やかでした。やたらと白人が多かったですね。
オススメの飲み屋に連れて行ってもらい、私と友人とロウロウと、なぜかツアーのタクシー運転手と4人でした。全てロウロウのおごり(^^)
そのお店の店員さんらと飲みながら会話する中でタイ語を教えてもらったり、色々話を聞いたり。現地の人と会話できたのはかなり貴重な経験でした。連絡先もらったけど、まぁ、かけようがないという…。
そして4人で夜の街を色々と探索✨
すごかったのはタイの歓楽街「パッポンストリート」。自由さといかがわしさが同居するそこには色んな人種がいました。日本で外国人を見かけると「自分は日本人、あの人は外国人」という認識になりますが、タイにいると「自分もあの人も外国人」という共通点ができる不思議な感覚になります。同じ場所で同じ時間を同じように過ごす。結局自分達は同じ人間なんですよね。ちょうど、デカい音で「レッドホットチリペッパーズ」の「Californication」がかかってたのをハッキリ覚えてます。
タイの人達の気質である「楽しかったらOK」ってのがある場所やからこそかな。
逆に日本って国は頭がカタイってのも分かりました。それがプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することもある。
つまりは、長所=短所なんですよね。ちなみに、これを理解してからは面接などでは長所と短所は同じことを視点を変えて答えれるようになりました(^^)
後は、もうひたすら飲んでましたね。
蒸し暑い中で冷えたビールを飲むのが何ともいえない気分で、たまに吹く生ぬるい風が心地よく感じました。
世界が歩く
4日目と5日目は自由行動。
朝っぱらから、メインストリートのワールドトレードセンターの広場では、何かのイベントかビアガーデンの準備をしてました。ステージ上で、バンド演奏のリハーサルが行われてて、デッカい音でエレキギターやドラムの音。
こんな場所でやってみたいなぁと思いながら、本日の目的地を目指します。
カオサン通りという場所があり、世界中のバックパッカーの聖地とも呼ばれる場所。とりあえず行っとこうということで、トゥクトゥクに乗って行きました。
そこは、バンコクのメインストリートとはまたひと味違った空気でした。インターネットカフェ、安宿、市街地とはまた少し違う雑貨屋さん、ご飯屋さん。歩いてる人も単なる観光客もいれば、深い目というか、おそらくいろんな所を見てきたんだろうなと勝手に思えてしまう人がたくさんいました。
いろんな人種がカラフルなそのストリートを東へ西へ北へ南へ…。
行ったり来たりしながら、現地の人達と笑いながら話してたり、とにかくいろんな人が馴染んでる空間を目の当たりにし、混沌としているようで、互いが互いを認め合ってる場所だなと思いました。
日常から離れたところで過ごした6日間、価値観とか、ものの捉え方はこの数日でだいぶ変わったような気がします。
最終日は、やっぱり寂しい感じでした。今のようにスマホとかあれば話は違ったかもしれませんが、ガイドのロウロウや、現地で出会った人達、おそらく二度と会うことはないでしょう。それでも、今の私を形成してるかなり重要な人達です。
大切な時間をありがとうって感じです。
夏から冬へ
そして、日本に帰ると、やっぱり冬でした。
一気に現実に戻るわけですが、今でも場面場面は頭に残ってます。自分探しではないけど、気付いたことがたくさんありました。
「あなたが誰で、どこから来て、何を求めるのも自由ですよ。ここにいていいんだよ。でも、起きることは全て自己責任でよろしくね。まぁ、とにかく楽しかったらいいんじゃない?」
そう言わんばかりの雰囲気。
これまで生きてきた世界観の狭さを感じましたし、今思うとその時の光景は今やってる事業に至る一つのルーツであり、間違いなくインスピレーションになってる気がします(^^)
蒸し暑い日季節になると、今でもタイに行ったことを思い出し、トムヤムクンかグリーンカレーが食べたくなります。
36度炎天下
アスファルトも溶け出してる
ムクムクと白い入道
少し食べちゃうぞ
くぬぎの木から滲み出る
樹液の匂いに誘われ
森の中へさまよいこむ
少し涼しいぞ
現れたのはスズメバチ様
森はいいだろ?特に夏はな
夏だな、夏だな、夏なんだな
風鈴が鳴らないもんで
扇風機を向けてみれば
面倒くさそうに鳴るから
余計暑くなる
熱帯夜をくぐり抜けて
いろんな無に顔を貸して
自分でいるより他なく
蚊に刺されている
現れたのはカブトムシ様
どんなもんだい?オイラのツノは
夏だな、夏だな、夏なんだな
(夏なんだな/ザ・ハイロウズ)
ちょっとコンパクトにしちゃいまして、分かりにくい内容になっちゃいましたが、ありがとうございました😊