夏の朝にキャッチボールを
さて、前回に続き私が今に至った経緯シリーズ第2段です(^^)
【そして専門学校に行くの巻】
高校卒業後、福祉の専門学校に行こうと決めたのですが…
「ん?福祉っていろいろあるのか?」
そんなレベルです。
かたっぱしから福祉と名のつく専門学校のパンフレットを送ってもらうのですが、
介護福祉、障がい福祉、児童福祉、医療福祉、社会福祉、言語聴覚、救急救命士…
いろんな資格、職種がありました。
人に聞いたり本屋に行ったりと自分なりに情報収集してはみるものの、説明も分かるような分からないような…。正直ピンとくるものはなく、福祉ってぼんやりしてるなぁと思いながら
無知でズボラな少年は深く考えもせずに
"卒業と同時に国家資格が取れる"
の謳い文句だけを見て「よし、これや!」と
介護福祉士コースに決めたのです。
で、入学してみるとクラス44人のうち男が4人という(後に5人になりましたが✨)。
遊びを知ってる感じの兄さんと、イケメンな兄さんと、明らかに10は年上やろって風貌の同い年のヤツと。女の子らはみんな同い年やったと思います。いろんな地方の人が多く新鮮(^^)
とにかく、よく遊び、よく飲み、よく遊び、よく飲み…でした。
たぶん、人生の中で一番自由と思えるような時間を過ごしていたと思います。いろんなものを見たり、いろんなとこに行ったり、いろんなことを経験したりと、自分の視野が一気に広がった時期かもしれません。
高校までと違うのは、最初から同じ方向を目指してる人たちが集まっているということ。
自分よりよっぽど真剣に福祉を目指してる人たちばかりでした。そんな人たちが身近にいると、自分はなんて楽観的なやつなんだと…思ったり思わなかったり。
カリキュラムとしては、座学と実習といった構成で介護概論、介護技術、家政学、障害福祉論、老人福祉論、社会福祉援助技術といった福祉に関するものや、なぜか英会話という。その英会話の先生がおもしろい人で、何人かのクラスメイトと一緒に何度か飲みに連れて行ってもらったりしました。当たり前なのですが、これまでの授業に比べると、やはり専門分野が中心でした。すいません、あまり真面目にはしていなかったと思われます。
【現場実習で感じたこと】
そうこうしているうちに、一年の冬に福祉施設に実習に行くことになります。実習は1年の冬、2年の夏、秋と合計3段階ありました。
高齢者福祉施設、障害者福祉施設、救護施設、児童福祉施設とありましたが、基本は自宅から通える範囲ということもあり、地域によって差はあったみたいです。
皆、自分で選んだ道とはいえ、その実習で様々な現実に直面することになるそうで、ある者は楽しく過ごし、ある者は泣きくずれ、ある者は途中で逃げ出し、学校そのものを辞めてしまうという半ば都市伝説のようなイメージ💦
まぁ、こういう類の噂話は多少の尾ヒレはつきものですが、実際、ウチのクラスでも少なからずそういう状況はありました。
それがきっかけで辞めてしまった友達もいた。
私は高齢者施設でした。
みなさんは、高齢者施設ってどんなイメージがありますか?
快適な空間?エレガントな雰囲気?それとも殺風景?もしくは、あまり綺麗とは思わない??
幼稚園の近所に介護施設があり、年に一回くらい交流会のような時間で訪問することがありました。その頃はあまりよく分からず…。
ただ、ハード面としては、病院のようで病院ではない、家のようでそうでもない、独特の雰囲気というか、その場所だけ周りから切り離されているような不思議な場所という感覚。
しかし、実習先で見た施設さんも、なんと子どもの頃の記憶と違わなかったのです。
これには少し驚きましたね。
雰囲気というか、においもそうですし、廊下などの壁の飾りなども小さいころの思い出のままだったんですね。まるで時間が止まっているのかというくらい…。
それがいいと思う人もあるかもでしょう。私は「あれ?福祉って時代から取り残されているのか?」と何とな~く思っちゃいました。
まだ介護保険制度が始まる前の措置制度の時代だったので余計に”昔ながらのまま”だったのかもしれませんが、世の中が全体的に、まだまだそういう空気だったんでしょう。どこか日の目を見ない場所として、ひっそりと…みたいな。
まぁ、今も多少はそうかもしれませんが。
「なるほど、自分らの将来の仕事先ってこんな感じなのか…これは嫌やな。」(※したくないの”嫌”ではなく、このままでは嫌やなという意味☆)
というのが実習初日の感想。
帰ってからクラスメイトに話してました。
かくして、第一段階の実習はイマイチなスタートをきりました。
それでも、実践できる、現場を見れるという意味ではワクワクしてました(^^)
食堂掃除、排泄介助、入浴介助、食事介助など、段階を追ってさまざまな実習をさせていただくのです。やはり座学とは違います。
なかなかうまくはいきませんが職員さんには丁寧に教えていただきました(^^)
しかし、「ん!?」と感じたのは、関わり方です。よく教科書で習うことと言えば
”人生の先輩であるお年寄りには常に敬意を払って接すること”とあります。
しかし、実際の現場ではどうでしょう…。
ほとんどの職員さんはタメ語ですね。上から目線みたいな人もいるし。
ある日の休憩時間、実習の担当の人に「言葉遣いって敬語とかじゃないんですか?」と尋ねると、
「もうずっと知ってる家族みたいなもんやから。難しい言葉より分かってもらえるし。」と。その時の自分は「なんか違う感じもするけど現場の職員さんがそう言うなら、そういうもんなんかぁ〜」と思っちゃいました。もちろん、自分らは学生なので立場が違うから敬語でしたけど。
わかりやすさという点では分からないでもない。でも、なんか腑に落ちない感じ。
介護の現場って、「親近感、フレンドリーこそが良い関係性で」という勘ちがいしやすい場でもあります。全ての人がその限りではありません。ちゃんと分かってる人もいる。
それにそうすることが援助の技法として有効な場面はあります。要は相手とどんな関係性が構築できているかで違うんですよね。でも、どれだけの人がそれを分かったうえでそうしていたのかな?もしかしたら、「なんとなく」「みんなそうしてるし」が大半やったりして…。
この思考が、個人的には福祉が停滞してしまう原因で、人の出入りが激しい理由なんちゃうかなぁと思いますね。
とにかく、初めての実習はよく分からないままに終わりました。
【ギャップ】
それから半年後の第2段階の実習先で、話し方のこととかを質問してみたところ、教えていただいたのが、
「介護の現場では、友達みたいな関係性が良いと思われがちですけど、そうじゃない。信頼関係と仲良くなるということは全く違う。単に仲良くなるということは、相手(お年寄り)に遠慮をさせてしまう。言いたいことや、本当に困ってることが言えなくなる。なぜなら、嫌われるんじゃないか?という不安ができてしまうから。嫌われたくないから自分の本心を隠してしまう。それはもう良い関係性とは言えないんですよ。」
それは、その後も自分の中で大切にしていることであり、今でもスタッフさんに"関係性"の話をする時によく言ってます。
第二段階の実習は失敗してめっちゃ怒られたりもしましたが、自分の中にある"福祉とはこうじゃないのかな?"みたいな問いかけに対して、今の自分の考えのベースになっている回答をもらえた場所でした。
まぁ、電車が1時間に1本という場所でしたが得るものは大きかったです。
一番印象に残ったのは、実習の仕上げになる夜勤でペアになった職員さんに言われた言葉。
「自分らの仕事って、福祉の仕事って何やと思う?福祉の理想ってあるやろ?でも、実際はそこから果てしなく遠い。現場も社会もそう。見て見ぬふりする人がまだまだたくさんいる。僕らのやるべきことは食事や入浴の介助だけじゃない。一番やらないといけないのは理想と現実のギャップを埋めること。まずは福祉の現場の意識がもっと変わっていかないといけない。今見てる現場の状況が正解でもゴールでもない。お互い頑張って見つけていこう。」
19の夏、足や手を蚊にさされながら心打たれました。
「自分の描く福祉ってどんなんやろう?」
「福祉の現場、このままでいいんか?」
期待と疑問が交差しながら、少しずつ福祉に向き合い始めた自分がいたように思います。
そして、何より蚊に刺されながら話を聞くのはなかなか厳しいと改めて思いました✨
「できることならば
何だってできる
なれるものならば
何にでもなれる
説明ならできないけど
ある日急に分かることがある
夏の朝にキャッチボールを
寝ぼけたままナチュラルハイで
幸せになるのには別に
誰の許可もいらない
真面目なフリして
くだらないことで
悩んだフリする
たまにゃおもしろい
なんだかんだ気分次第
自由になら1秒でなれる
夏の朝にキャッチボールを
寝ぼけたままナチュラルハイで
幸せになるのには別に
誰の許可もいらない」
(夏の朝にキャッチボールを/ザ・ハイロウズ)
今回は実習で感じた"福祉の現場の実際"。
世の中は広いって感じですね(^^)
あとは自分次第なんでしょうね。
次回は、海外研修のこととかちょっと書くかもしれません♪
今回も読んでいただき、ありがとうございました😊