NPO法人代表の"未来は僕らの手の中"

"音楽×福祉"NPO法人の代表が日々のあれこれを日記みたいにゆるーく書いていくブログです。

不死身の花

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えぇと、前回の続きでバンドの話ではありますが、今回は仕事にも通じる組織の難しさとかコミュニケーションとかそんな感じです。結局、うまくいくもダメになるのも全て”コミュニケーション、思い込み”なんかもなぁと思った時期の話。物事には必ず終わりがあって、だからこそ、その時その時に一生懸命になれる。

なれるのにしないのはもったいないよと思います。過ぎた時間は戻らないので(^^)

ん?結果的に失敗談…か!?

 

【足並み】

私の中では、メンバーが揃って走り出したわけですが、”足並みをそろえる”ということはさほど考えていませんでした。

そのバンドが始まった割と早い段階で、自分の中では「この4人で音出したらめっちゃ楽しいし、カッコいいやん♪このバンドでダメならダメやろ!!」っていうくらいの自信?過信?が大きくなってたんでしょうね。

後述していますが、それは私としてはプロを目指すということでした。たぶんあまり周りを見てなかったかな。ベース君はその変化に気付いてたみたいですが💦

曲を作る、スタジオで練習する、ライブをするの繰り返しで勝手に良い方向に進んでいくものだと。そして、「みんなも自分と同じ速度と温度で走ってるはず」と思い込んでましたね。

たしかに、最初の「ただ楽しい」という道はみんな一緒になって走っています。自分らの曲を演奏して、それを見てくれるお客さんが盛り上がってくれたらそれはうれしいものがあります♪

けど、走り出した時点で、それぞれ少しずつ枝分かれしていくんです。

一緒に同じライブのステージに上がって、同じ曲を演奏したって、そこで感じるものはそれぞれ違うはずなので、当然その先に見える景色、見たい景色も違ってくる。

繰り返せば繰り返すほどにそうなっていくのですが…。こまめな確認が必要なのにね。

如何せん、愚かな若造(私)でしたので、自分のやりたいようにやってたって、そこをいちいち摺り合わせなくてもお互い分かりあっているという大いなる思い込みのまま進んでいたのかもしれません。

実際、個々のポテンシャルは高いと思ってました。ドラムなんて、けっこう他のバンドを圧倒している感じでしたからね。どこかで「今のこのバンドがプロになる最後のチャンスかもしれない」という欲もありましたから、自分の中では楽しいの次のステップというか、音楽で食っていくためにやるべきことに早く着手したかったんだと思います。

でも、その当時、メンバー全員がそうだったのかというと、おそらくそうではなかったと思います。もちろん置かれている状況もそれぞれ違ってたし。でも、その時は聞けなかったんですよね~。分かってるけどそれを考えている暇を作りたくないというか、熱を冷ましたくないというか。

いつもライブの後に、ライブハウスの店長さん(安田大サーカスのクロちゃんに激似)と振り返りの話をするんですが、けっこう曲とか気に入ってくれてて、すごい気にかけてくれてて、でも「自分らもっと真剣にやらな」みたいなちゃんとダメ出しもしてくれるという、それがなおさら私にとっては「オレらはプロになるんや」みたいな勘違い男になってました(笑)

何とか結果出してみんなの気持ちもこっちに向けたいって思ってましたね。

気付いたらライブの構成とか演出とか曲の組み合わせとか練習の日程、ミーティングとか少々強引に自分の意見を通そうとするダメな私になってました(^^)

この時点で、すでに組織としては「???」ですよね。ワンマンというかね。

みんなでやってるはずなのに、真剣になってやればやるほどみんなを見ていなかったんですね。愚か者でしたね~。

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【真剣になる⇔楽しむ】

 あるライブの後の店長さんとの反省会で有名ではないけどメジャーデビューしているバンドさんの全国ツアーの対バン(いくつかバンドが集まって行うライブ)に出させてくれるという話が来て。もうね、圧巻だったわけです。

演奏技術はもちろんですが、パフォーマンス含め、その場の空気をそのバンド一色に変えてしまうというか、「これがプロってことか」と。

年齢的には1~2コ上なのに、全然違うんですよね。めっちゃ悔しかったですね。みんなで打ち上げしてても、最初は「めっちゃすごかったよな。」としながらも、どんどん悔しさが勝ってきて「ぬるいわ、オレら。このままじゃあかん。もっとちゃんとして、あれくらいなれなあかん。」みたいなこと言ってた気がする…。

ー”ちゃんと”とは??

その時の選択は”もっと練習すること”、”もっとバンドを優先すること”でした。

時期的にも、それぞれ仕事やら何やらで全員で集まる時間が減っていく。限られた時間でどう真剣にバンドという組織を成長させるかを考えると、一回の内容を濃くすることだと思い、詰め込むようになってしまったんですね。

音楽以外の時間を大切にせず、とにかく時間があったら楽器を持とう、打ち合わせをしよう、みたいな。その緊張感は必要だと思っていましたが、たぶん楽しくはなかった。「もっとこうしてほしい」とか、「ここで〇〇がこうしてくれへん?」みたいな、最初の頃のような「次どうする?」「えーっ、それくる!?」みたいな楽しい感じはなくなり、いつしか作業になっちゃってまして、スタジオ練習の時も微妙な空気が流れ出します。やがて、何気ない会話も少なくなっていき、頑張れば頑張るほど、何かを失っていくような感覚?

ぎくしゃくした感じで練習の後は、すぐに帰るという…。ベース君はだいたいウチにそのままお泊りコースで、朝までいろいろと練っていましたが。(あ、曲は私とベース君が作っていたのでなおさらね)

よくよく考えると、一つ前にやってたバンドを辞めた理由はそれやったのに、同じことをしてしまってますよね。

「これはまずいぞ!」と思う自分と「もう止まれない」という自分がいました。

4本のタイヤで走っている車の、どこかのタイヤがすり減ったり、パンクしたら進まなくなるのと一緒で定期的な点検(コミュニケーション)を蔑ろにしてたら、そりゃどうなるか見えてますよね。

よく、倦怠期のバンドが「初期衝動を取り戻す」とか、「原点に返る」とか言いますが、続けていると、やっぱり見落としたり見失うものってあるんですよね。まぁ、若さ故ですが。

自分でも何やってるのか分からなくなりだし、ずっと一緒にやってきたベース君に最初に相談しました。

そしたら「オレは今楽しいけどな。でも、このままがむしゃらに走り続けても、たぶん違うと思う。どうするんが一番いいのか分からん。」とゆー答え💦悩みましたね〜。

 

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【選択】

いつだったか、ドラム君が「遊びに真剣になることって大事よな」と言ったことがありました。そうなんです、この時にその意味が分かりました。このメンバーで思いっきり音楽を楽しむという目的があって、その延長線上にはプロになるというのはあくまでその過程で、目的地ではないはずなのに、いつの間にかプロになることが目的地になってしまってたのかもしれません。間違ってしまった”真剣”。

当時の自分達にとっては軌道修正するには遅かったんですね。バンドという組織をとるべきなのか、それ以前の友達という関係をとるべきなのか、少なくともその時の私の中ではどっちかしかなかったかな。中間という選択肢はその時は考えられなかった。

ライブの後の打ち上げで、思ってること全てを話しました。

それで、「次のライブで、このバンドは最後にしようと思う」と。

いいのか悪いのか分からないけど、全員異議なしでしたね(^^)それぞれも思っていることを全部言い合って。なんか喉に刺さった魚の骨が取れたようなスッキリした感じ。

その瞬間、バンドとして結束できた気がしました。最後のライブに向けて久しぶりに楽しい感覚でみんなで過ごす時間が増えました。当日は心の底から楽しみましたね。私は演奏前はいつもお酒は飲まない人なんですが、その日はもう始まる前からみんなで酒盛りみたいな(笑)。

初めて4人で立ったステージ、バンド以外で遊びまくったこと、真剣になってお互い疑心暗鬼になったこと、メンバーのことをむかついたこと、いろいろ思い出しながら、それでもやってきてよかったなと思えました。

終りが見えている物寂しさと、自由になった清々しさが入り混じってなんとも複雑でしたが、それまでのライブで一番最高でした。そして終わってからみんなで乾杯し、

 

「明日からはバンドメンバーじゃなく、友達に戻ろう」 

 

真空の闇に咲いてもよかった

一滴の水も欲しがらないで

愛されないのは生き続けるから

愛されないのは枯れないから

 

積雪の下に氷の中に

暖かい春を待ってはいない

永遠にずっと変わらないなんて

燃えないゴミと一緒じゃないか

 

戦場に咲いてしまった

銃声を聞いてしまった

何一つ選べなかった

戦場に咲いてしまった

 

不死身の花

 

さよならが寂しくないなら

手放す時ためらわないなら

会わないほうがすれ違うほうが

手に入れてしまわないほうが

 

戦場に咲いてしまった
銃声を聞いてしまった
何一つ選べなかった
戦場に咲いてしまった

 

不死身の花

(不死身の花/ザ・ハイロウズ

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とまぁ、バンドを通して色々と学ぶわけですが、結局コミュニケーション不足だったわけですね。これね、その後の自分への教訓なんですよね(^^)

よく福祉の仕事でも「コミュニケーション」は欠かせませんが、実は何よりも難しい。自分の価値観や見ているものとか、していることとかちがう人と波長を合わせるのって、簡単なことじゃないですよね。

しかも、それが一人また一人と増えていくとなおさら…。

つまりは人と関わるのって「めんどくさい」ことなんです。人間ってのは簡単ではなくて、なんか、こう、いろんな複雑なものが絡み合ってできてる非常にめんどくさい生き物なので。

 

でも、だから一人ひとり違うカタチだし、おもしろいんですよね〜✨

 

あ、ちなみに、その2年後にまたこの4人でバンド組むんですよ。

 

…って、オチ。

そして、次回からは、またまた仕事の話になります(^^)

今回もありがとうございました😊